岩田社長、ありがとうございました。
任天堂の岩田社長がお亡くなりになりました。かなり、ショックです。ここ最近の任天堂は厳しい状況が続いていましたが、そんな中をものづくりの精神で、ビジネスとしては課金制のスマホに完全に時流が流れてしまった"ゲーム"という文化を何とか残そうと必死にもがいていらっしゃったように見えました。見るからに温和そうなキャラクターで、新作発表会見等でもユーザーから親しみを感じるコメントが溢れていました。
改めてWikipediaで調べてみたら、岩田さん、元々プログラマーだったんですね。しかもかなりの手腕だったようで、面白いゲームを作るのに没頭していたんだろうなぁと想像します。
好きな経営者って何人かいますが、岩田さんはビジョンにこだわり、人間性も垣間見せてくれて、大好きな経営者でした。尊敬してました。
そんな岩田さんも参加していたのが、このMOTHER2です。僕にとっても重要な作品なのでいつか書くつもりでしたが、まさかこんな事がきっかけなんて、と悲しいです。
おとなもこどももおねーさんも。
MOTHERシリーズは、あの糸井重里さんが手がけた任天堂の伝説のゲームです。僕がのめり込んだのはその2。CMのキャッチコピーは、「おとなもこどももおねーさんも。」でした。
所謂ロールプレイングゲームですが、当時世を席巻していた中世ヨーロッパ風のドラゴンクエストやファイナルファンタジーとは違い、MOTHERは現代のアメリカの田舎街風な世界観。剣ではなくバットで戦い、薬草ではなくハンバーガーで体力を回復。教会でセーブするのではなく、電話でお母さんに今日の出来事を話してセーブ、と、手触り感とその景色の匂いや音がする、ある意味斬新なゲームでした。
どこか遠い世界でのファンタジーではなく、等身大の僕達の日常の中での冒険ゲーム。例えるならそんな感じです。
当時は分かりませんでしたが、仕事をする身になった今思うのは、コンセプトが明快かつ他と違う、ブルーオーシャン的なゲームだったんですね。しかも、糸井重里さんが作っているのでクオリティが半端ない。そりゃそうです。街の中の人含め、台詞が全て、トップコピーライターが書いてるんですから。完璧な世界観です。MOTHFR2があれだけヒットしたのに、同じようなゲームが出てこないのは、「こりゃ真似できねぇや」という理由だからでしょう。もしくは類似品は実は出てきてるものの、別次元すぎて同じジャンルだと認知されていないか。
糸井重里さんの想いを詰め込んでシナリオやグラフィックは出来ていたものの、なぜか動かない状態があって大ピンチの状況を救ったのが岩田さんだったそうです。この辺りの事は、こちらをどうぞ。
『MOTHER2』ふっかつ記念対談 はじめてのひとも、もういちどのひとも。 - ほぼ日刊イトイ新聞
岩田さんは、ゲーム人口の拡大をテーマに、当時は最先端技術を駆使した圧倒的クオリティのビジュアル押しだったプレイステーションの戦略ではなく、誰もが楽しめる、手触り感のあるDSやwiiをリリースして大ヒットさせました。
誰もが持ってる、懐かしい場所。未知なるものへのワクワク感、一緒にいてくれる人達の暖かさ。彼が愛したゲームという文化を詰め込んだ、おとなもこどももおねーさんも。
岩田社長、本当に、お疲れ様でした。本当に、ありがとうございました。
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