重大発表!と煽った末に遂に発表された堀口恭二対那須川天心のキック対決。
ここに至るまでにファンも巻き込んで賛否両論でしたが、実際に決まってみると期待値とインパクトがデカイカードなんだと改めて痛感させられました。
そしてそれ以外にもRIZIN13には気合入ったカードがズラリ。今できるラインナップでは最高のカードを揃えて来たなという印象です。
そんなわけで今回はRIZIN13の勝敗予想や楽しみ方を主観思い入れで書いてみたいと思います!
- 堀口対天心のこれまでと楽しみ方
- 堀口圧倒的不利ながらも勝機はある?天心対堀口勝敗予想
- んで、RIZINキックトーナメントの行方は…?
- その他カード勝敗予想
- RIZIN13の残りのカードは?大砂嵐は?
- RIZINは背水の陣なのか?RIZINの今後、大晦日は?
堀口対天心のこれまでと楽しみ方
てことで、日本格闘技界今世紀最大のカードとも既に言われているこの対決。
dropkickのニコ生配信でジャン齊藤さんが語ってた視点がなるほどな、と思いました。
天心は武尊、堀口はデミトリアスジョンソンという対立軸があって、その対決ありきの見方をされていたがいづれも実現しないうちに天心はロッタンやスアキム、堀口はRIZINでの連続圧勝でそれぞれの価値を高めて来た。そしていつのまにか、武尊もDJも関係なく、那須川天心、堀口恭二それぞれ単体で価値を持ち始め、僕らは彼らの戦いが純粋に見たくなった。その二人が戦うのはドラマがある。
ほんとにそーだなと思いましたね。たしかに武尊と天心の試合は見たいですが、もう機は逸した感が強いしそれよりも那須川天心の試合だけで僕らは見たくなる。堀口もそうですね。やっぱなんつうか、二人の圧倒的本物感はやばいんですよ。
彼ら二人って、掛け値無しで世界トップクラスの選手だと僕らも思えるわけで、それって実はPRIDE崩壊後の日本格闘技界では得られなかった体験なんですよね。
PRIDE亡き後を引き継いだDREAMでも青木真也がその「世界最強説」というアングルをぼんやりと背負ってましたが、正直「世界に通じるかもしれない」という期待値やロマンでしか語れなかった。実際、DREAMでは青木は強かったものの渡米して戦ったStrikeorceやBellatorではギルバートメレンデスやエディアルバレスに良いところなくボゴボコにされるところを僕らは目撃してしまった。結局、「青木は世界最高峰」とは思えなかったわけです。
「強さ」に対する圧倒的信頼を僕らは誰にも持てず、所詮日本はローカルの中での競い合い、みたいな罪悪感というかコンプレックスで格闘技に一喜一憂してたわけです。
そこに現れた天心と堀口。好き嫌いはともかく、彼らがそれぞれのジャンルにおいてトップコンテンダーである事を疑う人はいないでしょう。
世界最高峰の戦いー。こういう説得力を僕ら格闘技ファンはこの15年間位、失っていたんだなと改めて思いました。僕らが見たかったのはこれなんだ、と。
キックルールですが、日本が世界に誇る、本当に強い格闘家のぶつかり合いがこの日本で観れる。
これは実は15年ぶりの事なんですよね。だから正直、ジャンルとかルールとかあんまどうでもいいというか。まあUFC至上主義の人から茶番マッチなんでしょうけども。
でもさー、なんか思うんですが、堀口恭二ってMMAファイターとしてリングに上がるんですかね?彼は元々伝統派空手の出身。そして先日、心の恩師を亡くしています。
何が言いたいかというと、伝統派空手の選手として天心に挑んだらグッときませんか!?ということ!入場の時に空手着来て出てくるわけですよ。
で、試合の時は道着脱いでMMAパンツで戦う、と。なんかそういう物語性を期待しちゃうなぁ。
堀口圧倒的不利ながらも勝機はある?天心対堀口勝敗予想
さて、実際試合展開はどーなるのか。何だかルールがまだよく決まってないっぽいですが、キックルールである以上、那須川天心が圧倒的に有利なのは揺らがないでしょう。
僕もボクシングと空手やってましたが、他の流派との試合ってほんとにやりづらいんですよね。間合いも違うしパンチが出てくるタイミングも違う。
伝統派空手とか日本拳法って一発でズドン、という戦い方です。だから連打とかコンビネーションというよりは一撃の重さと速さとタイミングで当てる、という勝負になる(違ってたらすいません。僕の経験上の所感です)。
堀口に勝機があるならそのハンドスピードとタイミングだ、と言われてますね。そしてその一太刀が天心に当たれば勝つ可能性はある、と。
でも、それでも堀口不利なのは変わりません。何しろ相手は世界最高峰の那須川天心。その辺のキックボクサーなら勝てるかもしれませんが、相手の格が違う。グローブがMMAのものになればまたちょっと違うかもしれませんが、ルールがキックである以上、基本的には天心圧勝でしょう。
試合展開予想としては堀口にチャンスがあるのは1ラウンド。ロッタンとの試合を見る限り、天心は前に出て圧力かけられると少しひるむ。天心は前に出てプレッシャーかけながら相手が焦って中途半端な打撃出してきた時にカウンター合わせる、というのが得意戦法。天心がまだ堀口の間合いやタイミングにアジャスト出来ない1Rのうちに堀口がどれだけ見せ場を作れるかがポイントです。
でも、そんな事は天心もお見通し。おそらく天心は1Rは様子見して防御に徹するでしょう。防御に徹してる相手にヒットさせるのって結構大変です。堀口を攻めさせて空回りさせつつ、ローキックを的確にあてていく、みたいな作戦になるかなと。
で、2R目から徐々に天心もギア上げていきます。ポイントはやはりロー。堀口の足にダメージを与えていき、動きとスピードを奪っていきます。
そして焦って出てきたところにカウンターのパンチやハイキックで倒す、みたいなのが理想でしょうか。堀口がそれでも動きを止めなかったらそのままロー地獄でなぎ倒す、というのもありです。
僕の予想では、天心の3ラウンドKO勝ちです。
でも、こうした試合展開をああだこうだ言いながら予想できるワクワク感は最高に幸せだし、堀口にもチャンスはある。当日はギリギリの緊張感で観戦する事になるでしょうね…!
んで、RIZINキックトーナメントの行方は…?
さて、気になるのはキックトーナメント。当初はその一回戦で天心と堀口があたるのでは、と言われてましたがそうならなかった。というか、キックトーナメントって那須川天心と堀口の試合が最高の見所だったはず。それが今回のワンマッチで実現させたことにはちょっと疑問が残ります。というのは、であればキックトーナメントってRIZINでやる意味あるの?という…。しかも大晦日での4人制ワンダートーナメントでしょう…?堀口天心で二枠埋めたとして、あとはRISEのトーナメントで優勝した原口を入れたらもう三人ですよ。あとは大雅?
あれ、全員日本人?これってどんな視点で見ればいいんでしたっけ…?という。どんなコンセプトのトーナメントなんだ…?まぁ昨年末のキックトーナメントもそうでしたが。それなら4人とか枠の狭い話じゃなくてせめて8人とかでバラエティに富んだ選手出せばいいのにな、と思うわけです。やっぱRIZINはMMAだなーと運営側も考えたのかなと思います。
堀口は今回の天心とのワンマッチとの結果に関わらずキックトーナメント出るつもりらしいですが、今回のワンマッチで負けた方はトーナメント出ない方がいいですね。でないと、このワンマッチの意味もトーナメントの意味もなくなってしまう。
天心(最強キックボクサー)対堀口(MMA)の勝者、原口(RISE)、大雅(
K-1)、あと微妙にキックから外れた打撃系選手…みたいな4人で、全員日本人で団体越境トーナメント的な見方にしてみてはどーかなと。
その他カード勝敗予想
さて、メインカード意外にも今回のRIZINは骨太なカードが並んでいます。まさに出し惜しみなし。RIZINで育った矢地、カンナ、KINGレイナはまだまだ格闘ファンの中でのポジションというか評価はそこまで高くありません。そしてそうした先週は今回はラインナップされてないわけです。
というわけでいくつかのカードについて何となく思うところを書いて行きます。技術論の勝敗予想というよりかは、アングル的な話です。
大雅 vs. 原口健飛
兼ねてから噂のあった大雅、ようやくRIZIN出陣。RISEのトーナメントを優勝してRIZINキックトーナメントの枠を獲得した原口との対戦となりました。
これはどうしたって僕らは大雅目線で見てしまいますね。原口がどうこうというわけじゃないのですが、チャンピオンなのに契約関係の新生K-1の暗黒部分を一気に被ってK-1を追放された大雅。
しかも大雅が追放された理由は那須川天心とやろうとしたからだというじゃないですか。そこにどうしても僕らファンとしては格闘ロマンを感じちゃうわけですよね。
まあ正直、大雅は意外と顎が弱いし大雅圧勝!とは言えない脆さとか弱さがある。まあそこが魅力のひとつなのかもしれません。アンディフグ的なね。
大雅の格闘家としての生き様がどう出るのか。要注目です!
ミルコ・クロコップ vs. ロッキー・マルティネス
年末に引退試合をすると思われていたミルコがまさかの9月登場。なんでも怪我の様子からまだ引退するかどうかわかんないという状態だとか。
うーんこの、という感じは正直ありますが、ヘビー級レジェンドが日本のリングに上がってくれることを素直に喜びましょう。
しかし相手はRIZIN生え抜きのイリー・プロハースカではなく先日の名古屋大会で活躍したロッキー・マルティネス。
正直これは、ミルコ逃げたなと思いましたね。プロハースカはちょっとしんどいと判断したんじゃないかなと。
でもロッキーも先日の試合を見る限りただのデブじゃなく、動けるデブ。ミルコも決してイージーファイトじゃないんじゃないかなと思いますね。
浜崎朱加 vs. 黒部三奈
日本女子MMAの現役トップと言える浜崎とキャラも強さも際立つ黒部の試合。
これはどう見ればいいんですかね。カンナ VS RENAのドラマが一旦終わり、RIZIN女子MMAの次の展開を作っていく上で重要な試合なんだと思います。
RIZINの女子MMAはちゃんとRIZINの世界観の中での序列が出来つつあってドラマがイメージしやすいですね。男子はなかなか他団体との奪い合いもあってRIZINの世界観の中でドラマが作りづらいですからね。
砂辺光久 vs. 越智晴雄
パンクラス王者 VS DEEP王者。RIZIN設立の際に構想として挙げられた「フェデレーション構想」をわかりやすく体現したカード。これこそ日本MMA界の中でRIZINが果たすべき役割かなと思いますね。
キャラや存在感は砂辺の方が圧倒的に上回っていますが、越智もここで名を轟かせるチャンスを生かして欲しいですね。
朝倉海 vs. トップノイ・タイガームエタイ
RIZINの中でもっとも色気を漂わせるファイターである朝倉海。アウトサイダー出身かどうかはもはやあんまりどうでも良くって、単純に朝倉海というブランドができつつあります。
対戦相手は先日戦うはずだったタイガームエタイ。この選手、強いですよね。打撃勝負だと正直朝倉もしんどいんじゃないかなと思うので、打撃じゃなくってMMAとしてのトータルの勝負を仕掛けて欲しいと思います。
朝倉未来 vs. カルシャガ・ダウトベック
先日、日沖発を衝撃KOした朝倉兄弟の兄ちゃんの方。海が色気だとしたら未来は殺気しか感じません。完全にヤンキーです。彼のほうがアウトサイダーっぽいですね。
相手がどんな選手なのかよくわかんないのでなんともですが、勝った試合は全部KOだとのこと。大物がアメリカ(UFC)に集中してる以上、未知の強豪発掘もRIZINの生きる道。朝倉未来もまだまだRIZINファンの間で定着してるとは言えません。次の注目ファイターが誰なのかを占う意味で注目したいカードです。
中村優作 vs. マネル・ケイプ
前回、キックボクシングルールで那須川天心相手に善戦を見せた中村優作といろんな意味で注目されがちなマネルケイプの戦い。
お互いキャラが立ってるもの同士、ド派手で派手な試合になりそうですね。ただ、意外と慎重なマネル・ケイプ。中村もカウンター狙いで行くと思うので、お互い見合う展開も十分予想されます。
ケイプがどれくらい打たれ強いのかまだ全く未知数なので、どんな試合になるのか楽しみです。
アンディ・ウィン vs. 山本美憂
前回、MMAファイターとして見事な成長を見せた山本美憂。以前破れた相手にどんな結果を残せるか。RIZIN女子格云々というよりは山本美憂としてのドラマが動き始めた感じです。
ただ逆に、ここでまた負けるようだとまた彼女のドラマはそこで止まってしまいます。ここはなんとか山本に勝って欲しいですねえ。
イリー・プロハースカ vs. ジェイク・ヒューン
お前は一体誰なんだ、という相手と対戦することになった最後のRIZIN三銃士、プロハースカ。同じ大会にミルコ出るのにねえ・・・。
プロハースカにとってはちょっと何だかなあという試合なんじゃないでしょうか・・・。そして僕らファンとしてもこの試合にどんな意味を見出せばいいのかちょっとわかんない試合です。ジェイク・ヒューンが予想外のいい活躍を見せてくれればいいのですが・・・。
ダロン・クルックシャンク vs. ディエゴ・ブランダオン
RIZINの門番というポジションをゲットしたダロン・クルックシャンク。なんとなくこれまでは未知のファイターの前に立ちはだかっていた感がありましたが、今回はちょっとした本物ファイターとぶつかることになりました。
ブランダオンは前回の北岡戦でインパクト抜群の勝利を挙げたばかりで日本ファンからの視線も熱い。そんな状態でクルックシャンクと当てるあたり、RIZINの「今観れるカードを出し惜しみなく」というコンセプトを体現しているようです。
ブランダオンは前回、まだ全然本領発揮する前にフィニッシュしてしまった感が強いので、RIZINの門番を前にどんなファイトを見せるのか、注目です。
RIZIN13の残りのカードは?大砂嵐は?
というわけでいつも批判ばかりする格闘ファンを黙らせた感があるカードラインナップを揃えたRIZIN13。榊原実行委員長によるとあと2カードほど追加する、とのこと。
次回大会はフジテレビのゴールデンタイム放送でしょうから、地上波受けするカードをあとの2カードで持ってくるはず。1カードは既に出場が報じられている大砂嵐ですね。ボブ・サップとの対戦が第一候補とのことですが、ギャラの問題さえクリアすればありうるでしょう。
サップは、前回のRIZINの曙戦で意外といい動きをしていたのが印象的。アクシデントで途中で終わってしまいましたが、サップが本気出せば理屈抜きの強さを見せることは往年の格闘ファンは知っています。
対相撲という観点で大砂嵐との対戦もドラマ性があるし、いいんじゃないでしょうか?
んで、残り1カードは・・・・何だろうなあ。女子のカードが今回少ないので、女子ですかね。中井りんが復活できていれば前回流れた杉山しずかと当てるのもありでしたが、地上波向きかというとまだ弱い。となると真珠オークライヤー絡みのカードでしょうか。
RIZINは背水の陣なのか?RIZINの今後、大晦日は?
さて、今回の発表はファンの間でも好意的に受け入れられていることが多そうですが、ネットの声を拾っていると「すごいけど、RIZIN大丈夫なの?」という声も多く聞かれます。
RIZINって、お茶の間に響くカードと格闘ファンのニーズのズレによって悩まされてきました。そして天心やMMAファイターの無駄使い、実力の及んでないファイターを重宝したりと格闘技ファンの怒りと失望を買ってきたわけです。
そこへきて突然の路線変更。兆候は7月のRIZIN11あたりから見えてましたが、純粋に格闘技、MMAとして魅力的なカードをなるべく組んで行く、という路線に踏み切ったようです。そして次回大会であるRIZIN13ではそれが大爆発した、と。
でもそれは地上波の視聴率につながるラインナップではない。そして視聴率が取れないとフジテレビの中継がなくなり、資金とネットワークが消失してRIZINはスケールメリットが得られない、求心力のないイベントとなってしまう。それはそのままRIZIN消失に繋がります。
では何故、地上波で受けるはずのない本格MMAを並べてきたのか?結局、タレントお茶濁しカードでは視聴率すら取れない、とわかったのではないでしょうか。
実際、RIZINは過去3年で平均視聴率10%という大台を超えたことは一度もありません。よっぽどインパクトのあるカード、それこそ曙 VS ボブサップくらいの試合が組めないのなら、中途半端な試合組んでも意味ねえや、と割り切ったのではないでしょうか。
加えて先日の五味隆典の会心の勝利。そして2017年から参戦している堀口や天心といった「本物」の試合が持つ会場の熱気。大切に育てて行くのはこっちなんだな、と当たり前のような結論に至ったのではないかと思うのです。
不明なのはその方向性をフジテレビとちゃんと握れているのか、ということ。短期的な視点でなく、長期的な視点でRIZIN、日本の格闘技を育てていこう、というスタンスで二人三脚で進めるのか、ということですね。
記者会見でも高田延彦は「背水の陣」という言葉を何度か使っていました。これでダメならどうするんだ、というくらいのカードを並べてきたわけです。
この本気カードでどれくらいの格闘技ファンが会場に集まり、もしくはPPVを買い、そして地上波を観戦するのか。
「やれんのか」の煽り映像でも使われた「集結せよ」。まさに今回、我々格闘技ファンにもう一度集結せよ、という号令に僕には見えます。
そうじゃないと、日本のMMAはまた死ぬぞ、と。
批判的スタンスでもなんでもいいから、僕らはRIZIN13を目撃すべきなのです。
ギャーギャー言いながら、ファイター達の戦いを見守りましょう。
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