先日行われたRIZIN10、その後のファンの間での批判が止まりません。
これまでもRIZINについては格闘ファンの間で批判が多かったのですが、どちらかというとRIZIN含め日本のMMAを盛り上げたい一心で、健全な「批判」でした。
ただ今回のRIZIN10以降に起きた批判についてはちょっと様相が違う気がします。これまでの鬱憤がもう「我慢できない」と言ったところまできちゃったんじゃないかなという気がしています。
というわけで、今回のRIZIN批判について考えて行きます。
つまりは、RIZINはMMA団体じゃないのか?という事
もう、これに尽きますよね。那須川天心は当初、MMAファンからも期待を持って迎え入れられていました。2016年の年末の2連戦なんてかつてこの国に存在した、格闘技の理屈抜きのワクワク感を思い出させてくれる事件でした。
しかしいつの間にか、RIZIN批判の矛先は那須川天心に向かっていました。つまりはRIZINにキックボクシングを持ち込むな、というものだと思います。
しかも日本MMAの至宝、堀口恭司までも巻き込み、キックをやる。まあ、ここまでは昨年末くらいから既定路線だったのでまだいいとして、なんとトーナメントだという!
今回の批判のポイントはこのトーナメントだと思います。トーナメントになる、ということは、RIZINのメインストーリーになる、ということ。堀口も勝ち進んだ場合、向こう何大会か堀口のMMAは見られないということですからね。
1試合のみならいざ知らず、トーナメント!おいおい、RIZINってMMAイベントじゃねえのかよ!と。
一応榊原委員長曰く、「批判はあるが、RIZINはそもそも最初からキックやってましたし!」と、子供みたいなこと言ってます。そう、それは確かにそうなんだけど、でもファンがRIZINに期待してるのはMMAな訳です。
国内のメジャーキックボクシングだったらK-1があるし、KNOCKOUTもある。MMAもDEEPやパンクラス、修斗があるっちゃあるけど、メジャー感はない。しかもRIZINの場合、運営母体がかつてのPRIDEの象徴、榊原さんと高田さんということで、かつての格闘技黄金期をどうしたって期待してしまう。
運営サイドがどう取り繕おうが、ファンにとってRIZINはMMAなんです!!!
天心だって応援するけど、でも、RIZINはMMAなんです!!!!!!
RIZIN女子新ベルト創設??昨年末のはなんだったのか
そして今回、もう一つ批判が渦巻いたのが、朝倉カンナ戦後におこなれたRENAのマイクパフォーマンス。要はRENAがカンナに対して再戦要求をしたわけですが、地上波では編集が入って盛り上がったように見えましたが、実際の会場は寒い雰囲気だったとか・・・。
このマイクについて、ファンの間では「早い」「カンナに失礼」と批判が渦巻きました。カンナ自身も「もう少しMMAで勝ってから言って欲しかった」と本音をポロリ。
そしてそんな渦中に、新たな火種がブッこまれました。それがこちら。
なんと新王座設立とな!!え、じゃあ年末のトーナメントはなんだったの??となるわけです。
まるで昨年のトーナメントの価値を、つまり浅倉カンナの価値を認めていないと言っているようなもの。
これはさすがに口あんぐりです。これまでずっとRIZINについて応援的なスタンスをとってきたこの僕ですらあんぐりです。
この件でなのかどうかわかりませんが、浅倉カンナは下記のようなツイートを残しています。
石岡さんとのトーナメントをかけた試合から年末の優勝まで…どれだけの思いをして練習してきたか。どれだけ格闘技にかけたか。
— 浅倉カンナ (@a_kanna_) 2018年5月12日
もっとわかってほしかった。
ですよね。わかりますよ。悔しいですよね。カンナの心情がにじみ出るツイートでした。
そしてカンナと仲良しの那須川天心もこんなツイートを。
— 那須川 天心 (@TeppenTenshin) 2018年5月12日
選手は、死に物狂いで戦ってるわけです。
色んな批判があろうとも、日本格闘技を、RIZINを盛り上げようと文字どうり命懸けで戦っている。
それなのに、そうした選手の死闘をないがしろにするようなこの処置。これはちょっとまずいだろうと思いますよ。
東スポの榊原さんの発言が本当なら、ちょっと流石にRIZINもこの先ないだろうなあと思います。
結局、選手やファンではなく、テレビ局の視聴率のことしか考えていないことが露呈したわけですよ。
天心問題もRENA問題も根本は同じ
そう、結局、RIZINは地上波ありきの興行イベントだったのです。
仕方ないのはわかりますよ。世界的に高騰するMMAファイターのギャラを捻出するためには高額なスポンサー費用や地上波放映権料が必要。
そして格闘技をかつてのPRIDEの頃のようなムーブメントにするためには地上波が必要。実際、RIZINが他の格闘技プロモーションと異なるのは地上波がついてるかついてないかの違いでしかない。
それがなかったら堀口恭司も戻ってこなかったかもしれないし、那須川天心もRENAもホームリングを差し置いてRIZINに参戦する理由にならない。
ただ、RIZIN旗揚げから3年が経っていますが、残念ながら目立ったムーブメントも視聴率も残せていません。不調が続く「フジテレビにしては」という枕詞付きの「健闘した」レベルの視聴率しか残せていないわけです。
3年やってこれなら、フジテレビとしても「そろそろ厳しい」となってもおかしくない。フジテレビが抜けた後のRIZINは規模もスケールも何段階も落としてやるしかないし、そうなったらもはやRIZINの存在価値はありません。
榊原さん、心なしかいつもより疲れていて老けているように見られましたが、相当な危機感を持っているのかもしれません。
格闘技団体としてのビジョンを持って運営する余裕などなく、ただただ、目の前の視聴率を獲得して、なんとかRIZINを次に繋げて行くことに躍起になっているわけです。
これが、RIZINの悲劇ですね。最初からフジテレビ地上波ありきの構造になっているのが今回の天心やRENA問題の根本的理由です。
今回のRIZIN10で批判の的、つまり話題になったのは天心キックとRENA発言だけ。それ以外にもRIZINとしてはフレッシュな顔ぶれを揃えたのに、まるで話題にならず。
ファンはMMAを期待しているのに、そのファンですらMMAについて語ろうとしない。そして運営が向いているのはMMAに興味なんてない、一般地上波層。
ファン不在の世界観が、今のRIZINなのです。
うーむ・・・・これはもう、終わりかもわからんな、と残念ながら思ってしまいました。堀口 VS 天心、カンナ VS RENA2をやってしまったら、もう後にはRIZINには何も残らないのです。
悲しいですね。真面目に、来年RIZINが存在してるかどうか、わからなくなってきましたよ。