日本の格闘ファン全員が、屈辱を受けた大晦日
いや、言葉が出ない。あまりに衝撃でした。
正直、天心が倒せるとは一ミリも思ってなかったけど、もう少しはまともな勝負になるんじゃないかと思っていたし、天心ならもしかしたらひょっとしてメイウェザーに強烈な一撃を食らわせたらするんじゃないか…。
そう思っていた方は多いと思います。チケットは売り切れ、こんなに盛り上がったのは天心だったから。天心なら何かをやってくれるんじゃないか、という期待値。
出る出ないで揉めたり直前まで会場入りしなかったりなどの一連のメイウェザーの舐めきった姿勢が、また僕らの天心への期待値を膨らませました。
しかし、でした。
まさかの1ラウンドTKO。あんだけエキシビションエキシビションと言っていたメイウェザー。ひょっとしたら保険かけてんじゃねぇか的な見方も出来たわけですが、天心がまるで相手にならなかった。
なんか事前にわぁわぁ騒いでいた我々日本の格闘ファン全員がまるで見当違いの事で騒いでいただけみたい。
現実は、世界は、本物はあまりにも残酷でした。
狭い視野の中で騒いでいた我々日本人全員が屈辱を感じるべきなんじゃないかと。メイウェザーの、アメリカの、グローバルな視点で見たら、我々日本の格闘ファンはあまりにちっぽけだったのです。これは、国辱とも言えるんじゃないかと。
人生初となる、那須川天心のダウン
多分、天心も何が起きてたのかよくわからなかったんじゃないかと思います。特に最初のダウンは天心自身も驚いていたように見えました。足元がおぼつがす、必死に踏ん張ろうとしても足が言うことを効かない。天心といえど、ロッタンを始め一流どころとパンチを交換し合ってきたわけです。
それなのに、たかだか1ラウンドで自分が手も足も出ず、ほんとに遊ばれて転ばされる。
なんとか立ち上がろうともがく天心に、涙が出て出そうになりました。
散々なめやがって。本番見てろよ、と言うのが天心のモチベーションだったと思いますが、試合でも遊ばれた。天心のプライドはズタズタに切り裂かれたのではないかと思います。
身体のダメージより、心のダメージが心配です。
那須川天心の敗因
何故天津は相手にならなかったのか?
体重差、たしかにそれはあるでしょう。ただ、やはり致命的なまでにメイウェザーとのボクシングにおけるスキルがまるで違ったんだろうなと言うことだと思います。
僕は空手とボクシングの経験しかないんですけど、パンチの打ち方とか力の入れ方とかやっぱり違うわけで、見た目は同じジャブでも全く違う。んで、パンチだけで競うボクシングのトップオブトップは拳での人の倒し方を心得ているわけです。これまで歴戦の猛者と殴り合ってきたのに一度も倒れたことのなかった天心でしたが、ボクシングルールの中ではルーキー。もう、それでしかないと思います。
キックを打てる打てないだけの単純な話じゃなくて、キックが打てることによる出来る間合いやリズムや身体の使い方があるわけです。天心は、ボクサーのパンチをマトモに貰うスキルを持ってなかったんじゃないかなと。
もし、体重差が同じくらいあるキックボクサーのチャンピオンとボクシングルールで戦っていてもこうはならなかったと思うんですよ。やはり、そういう意味でも今回は全てはメイウェザーの土俵で戦ってしまったんだと思います。
ただ正直、試合後のテレビ解説陣のコメントはひどいと思いました。「本来はさせるべき体重じゃない」とかね。アホかと。その発言は、天心の今回の挑戦そのものを軽んじていますよね。地上波の一般人向けの天心擁護コメントかとは思いますが、それにしてもひどいです。
今後の那須川天心は?ボクシングはやるのか?武尊とは戦う?
気になるのが天心の今後ですね。
とりあえずRISEのワールドグランプリがあるのでそこを軸に戦うんでしょうが、今回の敗戦のあまりの衝撃に、ボクシングに挑戦するしかもうこの屈辱を晴らす道はないんじゃないかとも思います。
個人的には、武尊となんて戦ってるべきじゃないと思っちゃいます。日本の格闘技界の狭さというより、世界の広さを今回、天心は学んだはず。世界の中では自分はいかに相手にされていなくて、リングの上では見とけよと挑んだもののリングの上ではもっと相手にならなかった。
残念ながら日本の格闘技は、世界マーケットで見たらやはりしょぼい。「そこを変えてやる」と意気込むのも素敵ですが、多分そうそう簡単には変わらない。天心が本当にボクシングでもやれるのかどうかはわかりませんが、天心がボクシングで世界王者になって、そっからキックやMMAに逆輸入されてきたほうが早いような気がします。
もうね、僕らは那須川天心という存在、コンテンツそのものを応援するわけです。だから天心がどこでどんな戦いをしても追いかける。キックとかMMAじゃなくて、ボクシングで世界トップになってほしい。んでその上で格闘界に帰ってきてほしいなと。
僕は、そう思うわけです。