こっそり妄想徒然紀行

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【ONE、UFCトレード】何故、RIZINはONEになれなかったのか

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ONEとUFCのトレードの衝撃

このブログでは度々RIZINを取り上げ、応援してきました。まあ色々とツッコミどころはあるものの、日本MMA界ではやはりメジャーだしかつてのPRIDEとまではいかなくとも再びMMAムーブメントを起こしてほしい、とみんな期待していたはずです。

 

ただ、そんな僕も今回ばかりはがっくりきました。正直、RIZINはもうダメなんじゃないかと感じてしまいました。

 

そう、ONEの存在です。

 

今週、格闘技界に激震が走りました。UFCのデメトリアス・ジョンソン(DJ)とONEのベン・アスクレイのトレードが誓約間近だというのです。

 

ONEはつい先日、元UFC王者のエディ・アルバレスの獲得を発表したばかり。しかしそれよりも今回のDJとアスクレイのトレード話の方が衝撃的だったんじゃないでしょうか。

 

何で衝撃だったかというと、UFCと対等にビジネス交渉ができているからです。アルバレスはフリーエージェントの中で単純に交渉がうまくいっただけで、今までだってベラトールがUFC組を獲得したりとかそんな話はたくさんありました。

 

しかし、トレードですよ。お互いの利害関係が一致して対等に交渉をした、ということ。本心はわかりませんが、言ってしまえばUFCはONEを対等に見ている、ということでもあると思います。しかも相手がDJですからね。タイトルを奪われたとはいえ、あんまPPV獲得できない不人気王者とはいえ、かつてP4Pの名をほしいままにしていたあのDJです。日本格闘ファンからしたら、英雄堀口恭司がかつて負けた相手でもあります。

 

そのDJを、ONEがUFCと対等に交渉して獲得した、と。これは衝撃ですよねえ。

 

RIZINはONEに負けると思う。どうなる日本の格闘技

今回のこのニュースを聞いた時、「ああ、もうRIZINはダメだ」と直感的に思いました。

 

ついこないだ、RIZINはこれまで積み重ねてきたストーリーを収束させてしまいました。堀口vs那須川天心、浅倉カンナvsRENAです。今だしうる最高のカードを出し惜しみなく繰り出した、というのは勿論評価されるべきことですが、それでも期待されるような視聴率を出すことができなかった。

 

堀口vs天心は生中継じゃなかったのが痛かったんじゃないか、イヤイヤもう視聴率を気にすること自体が時代と合わないんじゃないか、とファンの間でも議論になっていましたね。でも総じていうと、堀口vs天心はある程度の満足度を持ってファンに届けられたし、「やっぱ格闘技、面白いな」「RIZIN、なんだかんだ色々あるけど応援したいな」という爽やかな余韻、一体感があったんじゃないかと思うんですね。

 

しかし今週のこのビッグニュース。何というか、言葉を選ばずいうと、RIZINの視聴率問題でああでもないこうでもない、と気にしていたことが滅茶苦茶ちっぽけに思えてしまったのです。

 

なんつうか、スケール感が全然違う。現実を見せつけられました。

 

昔、DREAMはUFCと比べてスケール感でどうしても見劣りしてしまい、リング上の戦いが「世界最強を決める戦い」と思えずにファンが少しずつ後ろめたくなっていった感覚があります。

 

RIZINはUFCが世界一強という前提で始まったプロモーションなので、UFCと最初っから同じ視線で見ておらず、ある意味割り切って見ていました。

 

ただ、ONEですよ。日本と同じアジア圏。日本人は深層心理として、欧米圏には勝てないけどアジアの中では一番、という自尊心みたいなのがあると思います。

UFCに勝てないのはわかってたけど、アジアのONEにも勝てないのか・・・と僕は思っちゃいました。エディ・アルバレスはかつて日本のDREAMで戦っていたわけですが、UFC後のステージに日本のRIZINを選ばなかった(オファーがあったのかどうかは知りませんが)。日本にはそこまでの価値を感じてもらえなかったということです。

 

 RIZINの行く末

この後の展開は何となく予想できます。多分、堀口も天心もRENAもまだしばらくはRIZINで頑張ってくれるんじゃないかとは思うんです。

 

ただ、その対戦相手がうまいことマッチメイクできない。説得力がある、ヒリヒリしたカードが組めない。何となくお茶濁し的なカードが続き、本人たちのキャリアにとってよくない影響が出始める。当然ながらファンも少しずつ離れていく。

そして心残りながら、選手達もONEに移っていく・・・。

 

 ギャラやキャリアは、選手たちにとって死活問題。日本の格闘技を盛り上げたい、という気持ちはありつつも格闘者としてのキャリアを考えると限界がある。

 

一方、そのスケール感でUFCをはじめとしたあらゆるプロモーションから選手を獲得していくONE。RIZINとの格は開いていくばかり・・・。

 

グローバルビジネスの縮図。製造業もMMAも日本はアジアに抜かれていく

サブタイトルの通りですが、このMMA界に起こったことはまさにビジネスの世界で今起きていることでもあります。

日本はグローバル市場においてその存在感を失っていき、マーケットは完全にアジアに移っています。

RIZINは国内の市場しか見ていなかった。何とか頑張って元UFC選手などを獲得してきてはいたものの、あくまで目線は国内。もはやレガシーとなりつつある地上波の放送頼りというビジネスモデルから脱却できませんでした。

 

日本の製造業も国内でのシェア争いに躍起になっていたら、いつの間にかグローバル市場で韓国や中国といったメーカーにシェアを奪われ、マーケットがグローバルに移行したのだと気付いた時にはもう遅し。

 

つまり、最初からグローバルを見て戦略を練っていたか、国内だけでしか市場を捉えていたかの違いです。RIZINは選手も運営も「日本のMMAをもう一度取り戻す」というような発言をよくしますが、この時点で既にグローバルではないわけです。

 

人口も消費も落ち込んでいく日本国内より、グローバルでビジネスを捉えていた方が市場が大きいのは明らか。その視点は日本企業にはない。魂の底から、鎖国精神が根付いてしまっているのです。

 

今回のONEの一件は、あまたある日本企業のグローバル対応の遅れの一つのように思えてなりません。

 

ただ僕は、日本のMMAが好きだし、RIZINが好きです。正直、もうしんどいだろうなと思っていますが、沈みゆく船に最後まで乗るつもりで引き続きRIZINを応援したい。

というわけでどこかで、RIZINが今後どうしていけばいいのかを考えてみたいと思います。