その日の朝、やかましい携帯電話のアラーム音で目覚めた僕がまず感じたのは、体全体の違和感だった。なんというか、軽い。それに比べ、頭が妙に重い。そして僕はすぐに気づく。自分の髪の毛がやたら長くなっていることに。
「なんだこれ・・・。」
と、僕は思う。最初は毛布か何かが頭に絡まっているのかと思った。でも頭を振っても取れない。そして、ふと目にした自分の指が細く長く、とても綺麗なことに気づく。指フェチの僕が思い描く、理想的な指だった。
「?????」
指だけじゃなかった。脚も細い。すらっと伸びた白い足。僕はすね毛のケアは特にしていないのに、何故?一瞬、病気で毛がすべて抜け落ちたのかとも思い、脚をさする。めちゃめちゃすべすべしてる。なにこれ。頬ずりしたくなるような太もも。いつまでもさすっていたい脛。まるで、女性の脚みたいだ。
そしてさらに違和感を感じたのは胸だった。気づいたら、胸が少し膨らんでいる。いや、そうでもないかな?最近筋トレを怠っているから、大胸筋が退化してきたのかもしれない。自分で触ってみると、ほんの少し弾力を感じる。
でもまあ、そこまででもない。フニフニして触ってて気持ちい気もするが、それより脚だ。
僕は、脚をひたすらスリスリスリスリしていた。
するとそこへ、爽やかな美少女がドアを開けてやってきた。
「お姉ちゃん、朝ご飯いるの?・・・何やってるの?」
お姉ちゃん?というか、この美女はなんだ?
僕がキョトンとしているとその子は「今日、オフでしょ。ご飯食べるなら早く食べて。食べないなら片付けちゃうからねー」と言ってドアを閉めた。
何が何やらわからぬうちに、僕は下半身に妙な違和感を覚えた。尿意だ。でもなんかいつもと違う。今すぐにでも漏れそうな危機感を感じて、僕はトイレに向かった。
そしてトイレの入り口にある鏡を見た。そこには、僕の姿はなかった。
そこに映っていたのは、髪の毛こそボサボサなものの、信じられないくらいの美女の顔だった。鏡の中の彼女も、こちらを見ている。
・・・ん??
鏡に近づく。すると鏡の中の美女も一歩こちらへ近づく。
正直、よくわからなかった。何が起こってるのか、よくわからなかった。
ただ、何だか一瞬のうちに悟ったのだ。
僕は、新垣結衣だったのだ!
と、何となく妄想していたのですが、こっから先書いてもキモイだけなのでやめておきます。
彼女が僕と入れ替わったら、僕はもう少しモテるんでしょうか?
そして入れ替わりを通じて、彼女は僕に好意を頂くんでしょうか。
答えは、入れ替わってみないと、わかりません。
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