こっそり妄想徒然紀行

どうでもいい事をそこそこ真剣に、ゆるーく考えるブログ

BECK(ハロルド作石/完結)

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何故か紙から感じるライヴの高揚感

ゴリラーマンとかでも知られるハロルド作石作のロック漫画の金字塔。”音”の出ない筈の漫画にライヴのグルーヴ感や高揚感を感じる稀有な漫画。

何で高揚感を感じるのかというと、そこに至るまでのドラマが一気にライヴシーンに集約されていくからでしょう。

まあーこのバンド、ちょっとやりすぎって位不運や不幸の連続で、それでも”奇跡の5人”の絆と、信念を持った大人たちの決死のサポートでのし上がっていくわけです。

 

ロックとは何か

このブログでも度々個人的に好きなロックバンドを取り上げています。あ、ちなみにそれらのページのPVはすごく低いです。

”ロック”とは何か。”バンド”とは何か。この問いを考えていくことこそが、ロックミュージックと向き合うって事だと思うんです。

僕の考える”ロック”とはつまり、カウンターカルチャーです。何かに対する反発、フラストレーション、怒り、焦燥感。それを音に乗せるのがロック。

ロックとは、何かに対抗していないといけないのです。ラヴアンドピースは、ロックじゃない。ラヴソングはロックじゃないわけです。社交的で明るい人にはロックは務まらない。伝説となるようなロックアーティストは、大体人間としては終わってる人が多いですし。

ではバンドとは何か?

バンドとは、もうそのメンバーじゃないと成り立たない奇跡の組み合わせ。それぞれが異なる個性を持っていて、それがぶつかりあった時にケミストリーが起きる。予定調和もないし、ついでにいうとハッピーエンドもない。基本的に”破滅”に向かって進んで行くもんだと思っています。だって、ロックって反発だもん。ずっと仲良しは、もはやロックとして矛盾してるわけです。その組み合わせだけでしかありえない、言うなれば日本の製造業のお家芸、擦り合わせ技術みたいなものです。

だから、メンバーチェンジをしたり長く続いているのは個人的にはロックバンドではありません。その時にスパークする、期間限定の奇跡的な煌めきこそが、ロックなのです。

ロックとバンドを体現した漫画

そういう意味で、この漫画はロックとバンドをストレートに表現した漫画だと思います。上述したロック&バンド観は別に僕オリジナルではなくて、ロックファンならある程度共有されている概念だと思います(特に昔のファンには)。

BECKは、”くそみたいなJポップシーン”と戦い、”世界と戦い”、紆余曲折ありながらも一応ハッピーエンドで終わります。世界から祝福されてしまった以上、ロックバンド漫画としてはもはや描くものが残っていないのでしょう。そしてもし上記のような概念の上に成り立っている以上、きっとこの先は悲劇的な結末が待っているんだと思います。できればそこまで描いて欲しかったですが、エンタテインメントとしては爽やかに終わるのも仕方なし。

ロックファンなら随所でニヤリとするシーンや、そもそも毎回の扉ベージが往年のロックアルバムのパロディなので楽しめるはず。

そういえば、ダウンロード世代の子たちにはこのパロディも通用しないんですかね。それはそれで、時代か。

 

BECK(34)

BECK(34)

 

 漫画最高!

saborimakuri.hatenadiary.jp

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